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2025年4月19日(土)

主張

学術会議解体法案

独立性なくすのが狙い 廃案に

 「学術の終わりの始まり」を許すな―日本学術会議解体法案に反対するたたかいが広がっています。オンライン署名は2万4千人を超え、学術会議の元会長6氏をはじめ多くの学会や団体が反対を表明しています。

 学術会議の総会では「政府からの独立性が保障されていない」との批判が多数だされ、法案の抜本的な修正を求める決議と声明が採択されました(15日)。政府は、こうした学術界や市民の声を受けとめるべきです。

 18日、衆院で審議入りしましたが、徹底審議のうえ、廃案にするしかありません。

 法案は、現行の日本学術会議法そのものを廃止し、“戦前の戦争協力の反省にたち政府から独立して職務を行う”という学術会議設立の原点を消し去ります。

■戦争国家への動員

 現行法の「独立して職務を行う」という条文を削除し、「経済社会の健全な発展」など政府に都合のよい基本理念を定め、首相の監督の下に、学術会議の人事、活動計画、意思決定、財政などで幾重にも介入できる新たな組織を設立します。

 政府の意向に沿って活動する組織に変質させるものです。ナショナルアカデミー(科学者の代表機関)とは異質の組織と言わざるを得ません。

 さらに、「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」するという理念を掲げた現行法の前文を削除し、「平和的復興」の使命を否定します。

 1949年1月の第1回総会が「わが国の科学者がとりきたった態度について強く反省し」とうたったように、この前文には平和への科学者の決意がこめられています。学術会議が軍事研究を拒否する声明を3度にわたって採択したのも、この決意に立ったものです。学術会議の独立性をなくすことで、こうした活動を排除し「戦争する国づくり」へ学術界の動員をはかることに最大の狙いがあります。

 具体的には、(1)首相任命の監事による監査(2)活動計画や自己評価に対する内閣府の評価委員会の関与(3)外部者による選定助言委員会や運営助言委員会の設置(4)最初の会員選任への政府の関与(5)補助金など外部資金で運営(6)会員の秘密保持規定と罰則の導入―など政府の意向に縛り付ける仕組みを定めます。

 これでは、科学者としての学識にもとづく自由な意思決定などできません。学術会議の声明は、「活動面での政府からの独立、会員選考における自主性・独立性が充足されておらず、むしろ独立性の阻害が意図されている」と深刻な懸念を表明しています。

■政治介入を許すな

 政府は、2020年10月の菅義偉首相による任命拒否の暴挙を「学術会議の見直し」にすり替えました。任命拒否に先立って安倍晋三政権が学術会議の会員選考に介入したことも、法律家の情報公開で明らかになりました。

 学術会議解体法案は安倍政権以来の学術会議への政治介入の産物であり、任命拒否こそ撤回すべきです。学術会議の解体は日本の未来に重大な禍根を残します。世論と運動で廃案に追い込みましょう。


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