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2025年4月17日(木)

主張

トランプ氏の妄言

米軍駐留経費の負担廃止せよ

 トランプ米大統領が、日本を守るために米国だけが費用を支払い、日本は何も支払っていないと不満を表明(10日)したことは、事実をあからさまにねじ曲げるものでした。トランプ氏が今後、そうした誤った持論をたてに、在日米軍駐留経費のいっそうの負担増を日本に迫ってくることが予想されます。日本政府は、道理のない不当な要求をきっぱり拒否すべきです。

 トランプ氏の発言は「米国は日本を防衛するために多額を支払う協定を結んでいる。米国が全額を負担し、日本は一切負担しない」というものです。日米安保条約に基づく地位協定は、基地の提供に必要な経費(土地の借上料や補償費など)を除き、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と定めています(24条)。

■貿易赤字を理由に

 トランプ氏が言うように、協定上、在日米軍の駐留経費は米側負担です。しかし実際は、日本政府が協定に反し、巨額の駐留経費を負担しています。その典型が「思いやり予算」です。

 この経費は1978年度に対日貿易赤字などを理由にした米国の圧力を受け、文字通り「思いやりの精神」(金丸信防衛庁長官=当時)で始まり、その後、額も対象も拡大の一途をたどってきました。

 負担額は、78年度は62億円だったのが、2025年度予算では2274億円にもなります。対象も、当初は日本人基地従業員の福利費などごく一部でしたが、今は▽基地の施設整備費▽日本人基地従業員の給与や手当▽基地で使用する光熱水料▽米空母艦載機の陸上着陸訓練(FCLP)費▽訓練資機材調達費―にまで広がっています。

 加えて、1997年度には沖縄での米軍実弾砲撃訓練の本土移転費などSACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費を負担するようになり、2025年度予算には111億円が盛り込まれています。

 07年度からは米軍再編経費の負担が開始され、25年度予算には沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設費や鹿児島県馬毛島へのFCLPの基地建設費など2146億円が計上されています。

 これら三つの経費を合わせると、4531億円にも上ります。しかも、これに、基地の提供に必要な経費を加えるとさらに巨額になります。公表されている最新の数字では総額8601億円(24年度)にも達します。

■米軍は日本守らず

 そもそも在日米軍は、日本を守るために駐留しているのではありません。

 自衛隊元幹部も「『日本の防衛は日米安保により米国が担っている』と考える日本人が今なお存在する」「(しかし)『在日米軍基地は日本防衛のためにあるのではなく、米国中心の世界秩序…の維持存続のためにあり…』という(のは)現在では当然のこと」(冨澤暉・元陸上幕僚長、安全保障懇話会会誌09年2月)と述べています。

 そうした米軍のため、地位協定にも反して「思いやり予算」や米軍再編経費などを負担することは許されません。


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