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2025年4月13日(日)

主張

給特法の改定案

“働かせ放題”続行許されない

 教員の長時間労働は一刻も放置できない状況です。ところが、今国会で審議入りした給特法(公立教員給与特別措置法)改定案は、深刻な現状を改善するどころか固定化する悪法です。

 教員の平均勤務時間は土日も含め、小学校・高校で週59時間、中学では64時間にのぼります(2022年、文科省調査から)。そのもとで過労死もおき、病休者は過去最高、学生の教職希望離れを招き、教員不足は深刻です。

 全日本教職員組合の調査では、34都道府県11政令市で4739人の教員未配置が起き、代替教員が「見つからないまま」が約4割にもなります。(2024年10月時点)

 授業準備や子どもと向き合う時間どころか、欠員による負担増の悪循環を招き、「担任不在が続き子どもたちが落ち着かない」など、子どもの教育に影響を与えています。

■労基法逸脱を放置

 教員の長時間労働の大きな原因の一つが、給特法で公立学校の教員には残業代を支給しないと定め、学校現場を「定額働かせ放題」としたことです。

 残業代制度は長時間労働に歯止めをかけるための世界のルールです。労働基準法は残業には25%以上、月60時間超には50%以上、法定休日の労働には35%以上の割増賃金を義務付けています。経営者・使用者のコスト意識に働きかけ残業を抑制するためです。

 ところが公立学校の教員には適用されません。1971年の給特法で、当時の全野党の反対を押し切り残業代制度から外されたからです。

 どんなに働いても残業代を払わずに済むため、行政はコスト意識なく次々と学校の仕事を増やしてきました。その結果、残業時間は十数倍となり、教員の多くが過労死ラインで働いています。1日8時間労働という労基法の趣旨から完全に逸脱しています。

 ところが改定案は「残業代ゼロ」制度を続け、「定額働かせ放題」を固定化しようというものです。こんな法案は一から出直すべきです。

 給与に上乗せしている「教職調整額」を、現行の基本給の4%から毎年1%ずつ引き上げ、2031年に10%にするといいますが、給与を改善しても長時間労働は解消しません。それどころか「改善したから長時間労働も我慢せよ」となりかねません。しかも25年度予算では、他の教員手当の削減がセットで、差し引き月1500円程度の「改善」にすぎません。

■「主務教諭」やめよ

 「主務教諭」の法制化が盛り込まれたことも重大です。教諭を上下に分断し上意下達の学校運営を強め、学校をますます息苦しい場所にし、子どものためになりません。導入はやめるべきです。

 改定案は教員の仕事量を管理する計画の策定・公表を教育委員会に義務付け「働き方改革」をすすめるとしますが、退勤の強要や持ち帰り残業を増やすだけです。教員増なしの「業務見直し」には限界があります。教員定数を増やし授業の量に見合う教員数を確保することこそが必要です。

 「残業代ゼロ」を廃止し、教員を増やすための法改正を強く求めます。


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