2025年4月9日(水)
主張
年金が軍事企業に
ガザ虐殺加担の投資をやめよ
「パレスチナでの民族浄化と虐殺への年金投資をやめろ」。日本に住んでいる人が納める年金保険料の積立金が、パレスチナ・ガザ地区でジェノサイド(集団殺害)を続けるイスラエルの国債や、同国に兵器を供給する軍事企業の株式に投資されていることに怒りの声が上がっています。
年金積立金のイスラエルからの投資撤退を求める市民団体が3月下旬、国会内で集会を開き、厚生労働省に署名を提出。日本共産党の大門実紀史参院議員は国会で政府の姿勢をただしました。
ガザの保健当局によると、4月7日現在、同地区での死者は2023年10月のイスラエルの攻撃開始以降、5万752人に達しています。今年1月の停戦合意を破り、3月に攻撃を再開して以降の死者は1391人、うち子どもは505人に上ります。
■イスラエル国債に
年金保険料は、年金の支払いなどに充てられなかったものが積み立てられています。この積立金は、運用収益で将来の年金給付を補うとして資本市場に投資されています。それを担っているのが「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)です。
大門議員は3月28日の参院予算委員会で、GPIFが24年3月末現在、イスラエルの国債を2270億円、同国に兵器を供給する軍事企業の株式を11社、6398億円保有していることを示しました。
このうちGPIFが1622億円の株式を保有している米キャタピラー社は、ブルドーザーをイスラエルに輸出しています。これは単なるブルドーザーではなく、イスラエル軍が銃弾や地雷にも耐えられるように装甲化し、機関銃なども装備可能で、地上部隊の侵攻ルートを切り開く兵器として使用されています。
また、1028億円の株式を保有している米ロッキード・マーチン社は、空爆も可能なイスラエルの最新鋭戦闘機F35を製造しています。
イスラエルの大手軍事企業のエルビット・システムズ社の株式(45億円)も保有しています。同社は戦闘用の無人機などを開発しています。
■政治の決断で可能
大門氏の参院予算委での追及に、福岡資麿厚労相は、投資先はGPIFが委託した会社に一任しており、「被保険者の利益のためという目的を離れ、安全保障等の観点から投資の是非の判断までさせることは適切ではない」と答弁。石破茂首相も「大臣が答えた通り」と述べました。
しかし、年金保険料は「健康で文化的な最低限度の生活を営む」(憲法25条)ためのものです。人の命や住む場所を奪うために使われていいはずがありません。
大門氏は、米国が軍需企業と認定し取引を制限した中国の企業について、GPIFが投資から撤退した例を示し、政府が虐殺に加担する企業と取引しないと決断すれば出資の引き揚げは可能だと強調しました。ノルウェーの年金基金大手(KLP)は24年6月、キャタピラー社からの投資撤退を発表しています。
私たちが支払う保険料が虐殺への加担となるのは許せません。石破政権はきっぱりと投資撤回を表明すべきです。