2025年4月5日(土)
主張
三重県議殺害予告
女性蔑視に基づく暴力なくせ
市役所のトイレに生理用品がなくて困った体験をSNSに「トイレットペーパーみたいに、生理用ナプキンをどこでも置いてほしい」と投稿(3月25日)した日本共産党の吉田紋華(あやか)県議に対し、多くの共感が寄せられる一方で、誹謗(ひぼう)中傷、殺害予告まで届く事態が起きています。
「いい歳(とし)して非常用ナプキンを持ち歩かない吉田あやか議員を殺害します!」というメールが同じメールアドレスから議会事務局に8千件超届き、吉田県議は警察に被害届を提出、受理されました。殺害予告は明確な犯罪行為です。女性蔑視を背景としたジェンダーに基づく暴力です。
■上げた声黙らせる
同31日に会見した吉田県議は「女性が上げた声を黙らせようとするもので許せない」と表明。日本共産党の本村伸子衆院議員も1日の法務委員会でこの問題を取り上げ、県議を守り厳正に対処するよう警察に要求しました。「暴力に萎縮することなく、自由にものが言えるよう対策を強化すべきだ」と訴えました。
この間、ミソジニー(女性嫌悪)を動機とする嫌がらせメールや殺害予告が増えています。女性たちは、「個人的なことは政治的なこと」、自分の困りごとは実は政治の課題なのだと声を上げてきました。その声をたたき、前進を阻む動きを許してはなりません。
学校や公共施設への生理用品設置は、経済的な理由などで生理用品を購入できないという「生理の貧困」がコロナ禍で顕在化したのをきっかけに広がり、国や自治体の施策にもなってきました。内閣府も2021年から毎年全国調査を行い、現在926自治体で生理用品の無料配布が行われていると明らかにしています。窓口での対面による受け取りに抵抗のある市民のために、生理用品の収納容器の設置、トイレ個室内への配置など施策が進んでいます。
■進む生理用品設置
海外では生理用品を非課税や軽減税率にするとりくみが広がっています。世界で初めて教育機関での生理用品の無料提供を始めたスコットランドは、20年には必要とするすべての人に対象を広げました。学校での無償配布はニュージーランド、フランスにも広がりました。こうしたなかで「生理の貧困対策」とは、経済的問題にとどまらず、誰もが性と健康の権利を尊重され、生理を快適に過ごせる権利を社会的に保障することだと認識されています。
同時に、生理の困りごとを自己責任にしない社会の構築が必要です。杉田水脈(みお)前衆院議員は吉田議員の投稿に対し「常時ポーチの中にナプキンを一つ入れておきなさいってお母さんから教えてもらいませんでしたか?」と発信しました。生理の困りごとを女性と母親の問題にし、自己責任を強調する悪質なものです。
貧困や保護者のネグレクト(育児放棄)のために、家族であっても生理の相談ができない女性はいます。生涯ナプキン負担額は50万円以上になるという試算もあります。経済的にも社会的にも自己責任からの転換が必要です。
社会からジェンダーに基づく暴力をなくすために力をあわせるときです。