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2025年4月2日(水)

破綻する関西万博(6)

カジノ 湾岸開発の失敗再び

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(写真)開幕前に行われた「やめてんかカジノ・万博パレード」。前列左から2人目は辰巳孝太郎共産党衆院議員、3人目は清水ただし同党参院大阪選挙区予定候補=3月23日、大阪市

 万博開催地を、大阪湾に浮かぶ人工島の市有地・夢洲(ゆめしま)に決めたのは、維新が「大阪経済の起爆剤」と称する「カジノ・IR」の夢洲誘致とセットで、自民党府政時代に失敗した大阪湾岸開発を再起動させ、大企業などの収益拠点をつくるためです。

IR推進のため

 当初、万博会場案に夢洲は入っていませんでした。万博誘致を決めた安倍元首相や菅元官房長官との会談(2015年12月)を受けて、当時の維新・松井一郎知事が16年5月、カジノ誘致計画推進のため夢洲を会場にねじ込んだものです。府民の暮らしや営業を犠牲にして、地下鉄延伸や下水道、アクセス道路など夢洲のインフラ整備に巨額の予算が投じられてきました。

 松井氏は「ベイエリアの発展は大阪の成長に必要だ。だから夢洲を(万博会場に)入れるよう菅さんにお願いした」(「読売」2月13日)と振り返り、「IR(カジノ)を先に決めて、IRの施設や展示場を使いながら(万博を)やりたかった。万博とIRをセットにしないと夢洲の価値は上げられない」(同)とあけすけに語っています。実際は万博が先行しましたが、“建築界のノーベル賞”と呼ばれる「プリツカー賞」を受賞した建築家の山本理顕氏も「カジノのための万博になっている」と指摘する通りです。

厳しい審判下す

 カジノ計画に公金投入はしないとの松井氏の言明に反して、土壌改良費に790億円を投入。大阪市と鑑定業者らが談合して格安で夢洲の市有地をカジノ事業者に賃貸した疑惑が明らかとなり、1045億円の損害賠償などを求める住民訴訟が起こされています。

 格安賃料訴訟原告団長の藤永延代さんは「子どもの未来にカジノはいらない」と強調。「賃貸契約は35年と孫子の代まで続く。税金に群がる政治家と行政、業者が結託してやったことをほうってはおけません」

 関西財界と維新府市政はカジノと一体の「夢洲二期開発」を打ち出し、サーキットやホテル、先端産業・物流拠点など整備計画を検討。これに対して環境保護団体など幅広い市民から批判の声が上がっています。

 日本共産党は、安全も守られず、莫大(ばくだい)な負担が押し付けられるとして「夢洲万博」中止を求めてきました。ガス爆発事故が起きるなど指摘の正しさが示されています。開幕を前に今からでも中止を求めるとともに、万博・カジノ推進の自公政権、維新に厳しい審判を下そうと訴えています。(おわり)


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