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2026年7月30日

イチからわかる憲法9条

第5部 日本と人類の未来(3)最強の安全保障
抑止乗り越え安心築

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(写真)東南アジア諸国連合(ASEAN)での地域外交をリードしてきたインドネシアのハッサン・ウィラユダ元外相と会談し、対話による平和創出の道を語り合う志位和夫委員長、田村智子副委員長(いずれも当時)=2023年12月21日、ジャカルタ市内(井上歩撮影)

 憲法9条改悪の最大の口実として持ち出されているのが「安全保障環境の変化」です。高市政権は、中国など特定の国の「脅威」をあおり、「戦後最も厳しい安全保障環境」という認識のもとで「抑止力強化」を呪文のように繰り返し唱えています。

 しかし、「抑止」一辺倒の発想の先にあるのは、「軍事対軍事」の悪循環です。現に世界の軍事費は、2001年の1・3兆ドルから25年には2・8兆ドルへと冷戦期をはるかに上回る水準に急増。グテレス国連事務総長も、軍拡が緊張を激化させ紛争リスクを高めると警鐘を鳴らしています。

 政府も、「外交」を口にしています。ところが、安保3文書改定を議論する有識者会議に提出された外務省資料で、「外交力の強化」として挙げているのは、日米同盟の強化や「同志国」との連携拡大です。その具体策は、他国軍に武器などを提供する「政府安全保障能力強化支援」(OSA)や政府開発援助(ODA)と武器輸出を組み合わせた抑止力強化が中心です。事実上、中国への軍事的対抗を前提とした「包囲網」づくりであり、軍事的「抑止力」と一体のものです。

 抑止とは武力行使を前提として相手に恐怖を与えることで攻撃を思いとどまらせるものです。しかし、「平和をつくる道」は、相手に「恐怖」ではなく「安心」を与え、対話を通じて信頼を築く外交にあります。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、紛争が絶えなかった地域を対話の積み重ねによって「平和と協力」の枠組みへと転換してきました。さらに米国、中国、ロシアなども含めた対話の場を築き、ASEANインド太平洋構想(AOIP)を通じて、その枠組みを東アジア全体へ広げようとしています。

 中国とも、08年の日中首脳合意にある「互いに脅威とならない」などの共通の土台をもとに、対話と信頼の積み重ねで日中両国関係を前向きに進める外交は可能です。

 憲法9条は、日本が戦力を持たないことで「安心」を提供する国家であることを内外に示すと同時に、積極的な平和外交を求めています。9条を生かし、対話と協力の枠組みづくりを主導することこそ真の「外交力」であり、最強の安全保障です。(このシリーズおわり)

シリーズ「イチからわかる憲法9条」のこれまでの掲載日付一覧

第1部 9条の誕生
(1)6月24日、(2)25日、(3)26日、(4)28日、(5)29日
第2部 安保との攻防
(1)6月30日、(2)7月2日、(3)3日、(4)4日、(5)5日、(6)7日
第3部 平和国家のルール
(1)7月9日、(2)10日、(3)12日、(4)14日
第4部 強まる改憲策動
(1)7月19日、(2)20日、(3)22日、(4)23日、(5)24日
第5部 日本と人類の未来
(1)7月27日、(2)29日