「日米間に齟齬(そご)はない」。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の返還条件をめぐり、高市早苗首相は2月26日、参院本会議でこう断言しました。
しかし、米国防総省は今月に入り、再び、「日本政府の責任で、別の長い滑走路を選定しなければ、普天間基地は返還されない」と表明したのです。
普天間基地の返還にあたり、辺野古新基地建設以外の条件があることは、すでに日米両政府間で確認されています。2013年4月に公表された在沖縄米軍基地「統合計画」は、八つの条件を提示(別項)。その中に、「長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善」という条件が明示されています。辺野古に加えて、民間空港も差し出せ、というものです。
問題は、どの空港なのかということです。米側が公表している複数の公文書からは、那覇空港を想定していることがうかがえます。しかし、日本政府は世論の反発をおそれ、空港名の特定を避け続けています。
より深刻なのは、新基地の工事が大幅に遅れ、政府はいつ完成するのか、見通しを示すことができなくなっている点です。新基地建設による環境破壊を告発し続けている「ジュゴン保護キャンペーンセンター」の吉川秀樹さんは「辺野古は本当に完成するのか、米軍内で疑念が高まっている。かといって正面から新基地建設を否定することもできないので、『長い滑走路』の条件を持ち出して、普天間返還に難色を示しているのではないか」と推測します。
吉川さんは「辺野古新基地の完成は不可能だし、完成しても普天間は返還されない。だからこそ、普天間基地の無条件返還という主張が、いっそう重要になっている。莫大(ばくだい)な予算の浪費と、貴重な自然の破壊でしかない辺野古新基地建設はただちに中止すべきだ」と訴えます。
2013年に示された普天間基地返還8条件
(1)飛行場関連施設の辺野古新基地への移設(新基地建設)
(2)海兵隊航空部隊・司令部機能などの辺野古新基地への移設(同)
(3)航空自衛隊新田原、築城基地の緊急時使用のための施設整備
(4)長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善
(5)交通渋滞・関連する諸問題の回避
(6)近隣する水域の必要な調整
(7)新基地の完全な運用上の能力取得
(8)KC130空中給油機の岩国基地移転

