日本共産党の田村智子委員長は4日の記者会見で、自民党と日本維新の会が5日にも提出を狙う議員定数削減法案について「やるべき政治改革をすり替え、衆院議員定数削減を問答無用で国会と国民に押し付けるものだ」と述べ、「国会の議論も、国民の意見も無視し、乱暴極まりないやり方で定数を削減する法案には断固反対する」と表明しました。
田村氏は、法案の内容もやり方も議会制民主主義を踏みにじるものだと指摘し、「そもそも定数削減に合理的根拠はない」と強調。議員の削減は民意の反映に逆行し国会に国民の声を届きにくくするだけでなく、国会の役割である政府監視機能も弱めてしまうと述べ、「定数削減が主権者・国民の声を切り捨てるのは明らかだ」と批判しました。
さらに、2016年の衆院議長の下に設置された「衆議院選挙制度に関する調査会」の答申が、定数削減に「積極的理由や理論的根拠は見出(みいだ)し難い」と結論づけたことを紹介。現行の衆院総定数465は日本の普通選挙制度100年の歴史で最少で、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中36番目で最低水準だとして、「歴史的にも国際的にも日本は議員が少ない国だ」と改めて指摘しました。
こうした事実に自民・維新両党は何一つ答えられないと批判し、「議員定数削減は民主政治の根幹に関わる問題だ。自民・維新両党が政権を維持するために結んだ勝手な『合意』に盛り込み、国会に押し付けるのは議会制民主主義のじゅうりんだ」と述べました。
田村氏はまた、自民・維新両党が国民の政治不信に正面から応えず、定数削減を主張していると指摘しました。国民が求めているのは裏金問題の全容解明と企業・団体献金の全面禁止であるにもかかわらず、維新は「政治改革」の中心を定数削減にすり替え、自民党の責任逃れに手を貸したと批判。「定数削減を突破口にして、社会保障改悪・大軍拡の悪政を推進しようとしていることも極めて重大だ」と述べました。
国民の声が反映しない国会のままでいいのかも問われていると強調。小選挙区中心の制度では「死票」が増え、比較第1党が議席を独占して虚構の多数をつくり出していると指摘し、「ここに民意が届かない根本原因がある。国民の声や民意が届く国会にするためには、選挙制度そのものの抜本改革が必要だ。比例代表を中心の制度とすることを提案し、実現に努力していきたい」と述べました。

