自民党と日本維新の会が臨時国会で成立を狙っている衆院議員定数削減法案の要綱が3日、明らかになりました。比例代表20、小選挙区25を削減し、国会定数を465から420まで一気に減らします。
要綱には、一般的に法律の第1条に盛り込まれている「目的」規定がありません。何のために定数を削減するのか、選挙権を有する国民に何ら説明せず、「削減ありき」の内容です。さらに、法案提出の理由は、法案の趣旨の措置を「定める必要がある」からとしか書かれていません。削減の理由を示さず、「削減する必要があるから削減する」というもので、法の論理として破綻しています。
一方、「プログラム法」と称して、法の公布後1年が経過すれば、選挙区の改定などで結論が出ていなくても、公職選挙法など関連法を改定して定数削減する「自動削減」の枠組みを設け、国会を恫喝(どうかつ)しています。およそまともな法律の体を為しておらず、批判が殺到するのは確実です。
今回の削減枠は1日、高市早苗首相(自民党総裁)と日本維新の会の吉村洋文代表が合意。定数削減は、維新が連立入りの絶対条件としてきました。
自民は2日、政治制度改革本部などの会合で協議しましたが、異論が出て結論が出ませんでした。しかし、3日の合同会議では定数削減法案を了承し、対応を加藤勝信政治制度改革本部長に一任しました。自民・維新両党は5日にも国会に提出し、開会中の臨時国会で成立を狙っています。
ただ、会期は17日までで、8日以降、補正予算案の審議が始まる見通しです。日程がタイトな上に、「削減ありき」の法案に野党はいっせいに反発しています。また、企業・団体献金の禁止・規制など「政治とカネ」の問題を後回しにして定数削減を先行させれば、国民の反発が広がるのは必至です。高市政権でも、首相自身の上限規制超えの献金が明らかになるなど、政治資金問題が次々と噴出。維新も、「赤旗」日曜版が暴いた関連企業への公金還流問題をうやむやにしたままです。
自民・維新の動きは、議会制民主主義の根幹を揺るがすものであり、政権に批判的な声や少数意見、さらに地方の声を排除するファッショ的なものであり、きわめて危険なものです。しかし、その動きはあまりに道理のないものであり、幅広い国民・各党が両党を包囲し、追い詰めていくことは可能です。

