林芳正総務相が昨年10月の衆院選挙(山口3区)で運動員へ報酬を支払ったうえ、その収支報告が虚偽だったことが公職選挙法違反だとして、神戸学院大学の上脇博之教授は1日、出納責任者に対する告発状を広島地方検察庁に送付しました。上脇氏は「本件は大規模買収の可能性が高く、氷山の一角」と指摘しています。
告発状によると、林候補の出納責任者は選挙運動員10人による「ポスター維持管理費」などの労務に対し、計18万1000円を支払いました。これが運動員の労務への支払いを禁じる公選法で買収に当たると指摘しています。
また、労務をしていない9人に対し、計16万6000円を払ったとする報告や、本人に承諾を得ないまま5人の署名を記入した領収書を偽造し、山口県選挙管理委員会に提出したことが公選法の虚偽の報告であり、刑法の有印私文書偽造に当たるとしています。
上脇氏は、実際には支払われなかった金額が「他の買収に使われたのではないか」と提起。この事件に関する報道で、選対から林氏に労務費の支払いの報告を受けていたとされていることを受け、「林議員の関与も疑われる」と指摘しています。
上脇氏は「本件が刑事事件として立件されなければ、同様の手口が全国で横行するのではないか」と、捜査の必要性を強調しています。
疑惑は週刊文春が11月に報じました。その後も一般紙が報じ、日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員が独自に調査し、国会で追及しています。林氏は「公選法上問題のない支出だ」などと説明しています。

