スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は1日、2024年の軍需企業の収益上位100社のリストを公表しました。日本企業は三菱重工業など5社が入り、合計収益は133億ドル(約2兆円)で前年比40%増と、国別では最大の増加率となりました。(グラフ)
上位100社に入った日本企業は三菱重工(32位)、川崎重工業(55位)、富士通(64位)、三菱電機(76位)、NEC(83位)。いずれも前年より順位が上がりました(表)。SIPRIは報告書で「日本が進める軍事増強計画で国内需要が強まったため、5社とも2桁の割合で伸びた」と指摘。三菱重工は主に戦闘機とミサイルの販売で、収益が前年比37%増の50億ドル(7550億円)となったと紹介しました。
川崎重工は24年、架空取引で裏金をねん出し、海上自衛隊員に物品などを渡していた問題が発覚。こうした不祥事のもとでも収益を大幅に伸ばしています。
(写真)三菱重工が主契約企業となり、日英伊3カ国で共同開発する次期戦闘機の模型=5月12日、千葉市
また、各社の事業全体に占める軍需事業の収益の割合が増えています。三菱重工は24年に15%で、前年より3ポイント増加。他の4社も2~3ポイント増えました。日本政府は、日本企業の軍需事業の依存度が、欧米やイスラエルの軍需企業と比べて低いことを問題視。依存度が高ければ容易に撤退せず、設備投資を優先して行うようになるともくろんでいます。そうなれば、産業の軍事化が加速し、需要を生み出すためにさらなる軍拡が進められ、多額の税金が使われる悪循環を生み出す危険があります。
高市早苗政権は、軍事費の国内総生産(GDP)比2%を超える大軍拡や、殺傷兵器を含む武器輸出の拡大を狙っています。世界の軍需企業に巨額の利益をもたらし、軍事的な緊張を助長する「死の商人」国家に仲間入りすることは許されません。

