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2025年11月30日

保険証捨てないで

来年3月まで使えます
“マイナトラブル多発 現場丸投げ”

写真

(写真)従来の健康保険証(一部加工)

 「ちょっと待って! 今まで使っていた保険証を捨てないで」―従来の健康保険証は12月2日に期限が切れても来年3月末まで使えます。「マイナ保険証」の利用率が低迷するもとで、政府は従来の保険証の利用できる期間の延長に追い込まれています。(小林圭子)

 「国は従来の保険証が12月2日から『使えません』とばかり宣伝し、引き続き使えることを国民に周知していない」。こう憤るのは、全国保険医団体連合会(保団連)の山崎利彦理事です。

政府は周知せず

 厚生労働省は11月に医療機関に対し、12月2日以降、患者が期限切れの保険証や「資格情報のお知らせ」のみを窓口に持参した場合でも、通常の自己負担割合(3割など)で受診可能とするよう求めるメールを送信しました。一方、同省のホームページやチラシなどには、従来の保険証が廃止後も使えることは一切記載していません。

 同省担当者は、国民に周知しない理由を従来の保険証廃止後は「マイナ保険証」か「資格確認書」による運用が基本だとし、「(国民が)期限切れでも使えると思ってしまうのは正確な理解ではない」と本紙に答えました。

 山崎さんは「政府は保険証廃止という自身の間違いを認めて、国民の心配を払拭するために周知すべきです」と指摘します。

 厚労省はマイナ保険証のメリットとして、「医療現場の負担軽減」をあげていますが、本当に負担が軽減されているのか。

 保団連が10~11月に実施したマイナ保険証のトラブル調査のなかでは、医療現場から「トラブルが多く、そのたびに対応しなくてはいけない時間と労力が多すぎる。(患者に)マイナ保険証の知識が浸透していないため、いろいろ説明させられる。現場に丸投げという印象しかない」「不具合が起きると事務(受付)が滞って予約通りに診療が進みにくくなり、(従来の保険証が廃止される)12月以降が心配」―などの悲鳴があがっています。

 「障害や年配の方で腕の不自由な方は画面操作が行えない」「『マイナ保険証の読み取り機が医療機関によって異なり、操作方法が違うので困る』というクレームあり」など、患者の負担も浮き彫りになっています。

国が責任持って

 マイナ保険証の10月時点の利用率はいまだに37・14%と低迷しています。

 山崎さんは、マイナ保険証が国民の理解や必要性を無視した、国の一方的な押しつけだと強調します。国は健康保険法を改定し、保険証の交付を利用者の申請制にしたことに触れ「国民皆保険の社会保険システムが申請主義に変わったことが根本的な間違い。社会保険は自己責任ではなく国が責任を持って制度運営すべきであり、当面は全ての人に資格確認書を交付すべきです」と語ります。