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2025年11月30日

主張

COP30が閉幕
日本は化石燃料の延命やめよ

 気候危機の進行がとまりません。世界気象機関は、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が2024年1・55度と単年度で初めて1・5度を上回ったと発表しました。日本でも今夏の全国平均気温は平年より2・36度高く、統計史上で最も暑い年となりました。

 22日に閉幕した国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は、脱炭素社会への「公正な移行」(関係する産業の労働者や地域を取り残さない公正な方法による移行)の具体的なプログラムや、「熱帯雨林保護基金」の発足などを盛り込んだ合意文書を採択しました。

■工程表策定できず

 しかし、「パリ協定」で合意した「化石燃料からの脱却」の加速に向けた工程表策定などは先送りしました。

 COP30は、米国が政府として参加しない異例の会議となりました。化石燃料業界に支持され、「パリ協定」の気候変動対策を「史上最大の詐欺」とののしるトランプ米大統領による妨害・影響は重大でした。

 工程表の策定が合意できなかったことで、会議の意義と役割が厳しく問われます。地球環境市民会議の声明は「気候変動は急速に進行しており、交渉の停滞は許されない」と厳しく指摘しています。

 工程表策定を支持する案をドイツ、フランスなど82カ国が合意文書に反映させることを求めましたが日本は支持せず、気候変動をめぐる偽情報への対策を促進する宣言の提案にも署名しませんでした。

■トランプ発言容認

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、人間活動が地球温暖化を引き起こしたのは「疑いの余地がない」と断定しています。ところが高市早苗首相は、トランプ大統領の「詐欺」発言に対し「コメントする立場にはない」と事実上の容認です。米国いいなりの姿勢があらわです。

 日本は、COP28の合意文書に規定された「化石燃料からの脱却」を、独自に「化石燃料からの移行」と解釈し、電力業界いいなりのアンモニアの混焼による石炭火力発電の延命を図ってきました。

 国際的な環境NGO「CAN」は、温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」を今回も日本に授与しました。日本が推進する、CO2を回収・貯蔵する「CCS」や、アンモニアと石炭の混焼が「化石燃料を延命する技術」になっていることが理由とされています。

 国別の排出削減目標を提出した国は日本も含めて114カ国・地域(17日現在)です。国連の分析では、この目標が達成されてもCO2削減は2019年比で12%にとどまり、35年度までに60%削減という目標達成にはさらなる積み上げが必要です。

 日本は「13年度比で35年度に60%、40年度に73%減」を国連事務局に提出しました。しかし、「パリ協定」の1・5度目標に届かず、世界第5位の排出国として目標に整合した削減目標への引き上げが求められます。

 高市政権には、地域主体型の再生可能エネルギーを飛躍的に拡大し、将来世代に安心した暮らしを引き継ぐ責任があります。