(写真)田村智子委員長(左)の質問に答える辰巳孝太郎議員=21日、衆院財金委
ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止法が28日に国会で成立しました。同法は、ガソリン価格を引き下げ、物価高で苦しむ国民生活を支えるためとして野党が共同で提出。日本共産党は法案の共同提出者に加わり、沖縄の負担軽減措置の継続や、財源として大企業優遇税制の見直しなどを提起し、実現にむけ力を尽くしてきました。
同法はガソリン1リットルあたり25・1円上乗せされている暫定税率を12月31日に廃止する内容。第一生命経済研究所の試算によると、暫定税率廃止に伴う家計の負担軽減額は1世帯(2人以上世帯)あたり年約7600円です。自家用車を利用する機会が多い地方ほど恩恵が大きくなります。
廃止に先立ち石油元売り会社への補助金を段階的に増額し、店頭価格も段階的に引き下がっていく見通し。補助金は今月27日に1リットルあたり20円に増額されており、12月11日には暫定税率廃止相当額の25・1円となります。軽油の暫定税率(同17・1円)も、同様の措置で来年4月1日に廃止します。
野党が共同で提出
暫定税率廃止法案は今年6月、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、参政党、日本保守党、社民党の野党7党が共同で提出しました。しかし当時与党の自民、公明が参院で採決に応じず廃案になった経緯があります。
与党が参院でも少数となった参院選後の7月末、自民、立民、維新、国民民主、公明、共産の与野党6党の国対委員長が年内実施で合意。野党は8月に法案を再度提出しました。総裁選など自民党の事情で協議が遅れましたが、今月5日に与野党の実務者が合意し、廃止期日を12月31日とする修正案を提出しました。
大企業優遇見直し
日本共産党は法案の共同提出者として辰巳孝太郎衆院議員が各党と実務者協議を重ねてきました。
廃止の財源をめぐっては大企業優遇税制や「1億円の壁」といわれる金融所得課税の見直しなどを提起。こうした議論もふまえ法案の付則には、廃止の財源として「法人税関係特別措置の見直し、極めて高い所得に対する負担の見直し等の税制措置を検討」と盛り込みました。
また沖縄戦や米軍基地の影響で公共交通機関が不十分で、移動手段を自動車に依存している沖縄県では、沖縄復帰特措法に基づきガソリン1リットルあたり7円の軽減措置がとられています。
共産党は玉城デニー沖縄県知事や沖縄県議会与党県議団などの要請も受け、軽減措置を維持し、本土と同様の減税となるよう要求。法案審議では田村智子委員長や小池晃書記局長が、本土よりも物価高が進む沖縄の減税額が本土より少ないことに合理性はないとして7円の軽減措置継続を求め、片山さつき財務相は「特措法の趣旨を踏まえ、軽減措置を継続していく」(27日、参院財政金融委員会)と答弁しました。
環境対策継続要求
共産党は、軽油引取税を財源とする「運輸事業振興助成交付金」についても、暫定税率廃止後も継続するよう主張。同交付金は、営業用トラック・バスの災害時の緊急輸送対策、安全対策、環境対策などに活用され、ドライバーの処遇改善にも重要な役割を果たしています。野党各党も継続を要求し、片山財務相は「維持する上での課題を含めて適切な検討がなされ、必要な対応が取られる」(21日、衆院財務金融委)と答えました。

