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2025年11月29日

きょうの潮流

 この街を歩くと竹の棚が目につきます。まるで巨大な竹かごが建物全体を覆ってしまうような。年末の飾りつけが始まるこの頃になると、竹棚を組む光景があちこちでみられます▼軽くて組みやすい竹は狭い空間に建物が密集する香港でも古くから使われてきました。その竹の足場と防護用のネットが燃え盛り、瞬く間にビル全体が炎に包まれていきました▼香港で発生した高層ビル群の火災。隣接する8棟のうち7棟に延焼し犠牲者は増え続けています。およそ2千戸に4千人以上が暮らしていたといい、現地では過去最悪の被害だと。家族や友人を亡くし住宅を失った多くの住民は途方に暮れたまま避難しています▼香港当局はビルの修繕工事をしていた業者の責任者を過失致死の疑いで逮捕しました。竹の足場や防火基準を満たしていなかったという防護用のネットに加え、可燃性の高い発泡材が資材に使用されていたとの指摘も▼すべての問題は土地問題に起因するといわれ、世界有数の人口密度と限られた地のなかに高層ビルが群れをなす香港。今回の惨事はそうした住宅事情にある高層ビル火災の怖さをまざまざと見せつけました▼都心を中心に高層ビルが増え続ける日本も対岸の火事で済ますわけにはいきません。防災対策や備えを点検し、避難ルートの確認を。火事が多くなる季節です。条件は違えど大分の佐賀関でも大規模火災が起きたばかり。すべてを焼き尽くされる悲惨は同じです。安全安心の住まいは生活の礎なのですから。