2025年10月29日(水)
統一協会に翻弄された
安倍元首相銃撃事件 被告「殺意」認める
奈良地裁で初公判
安倍晋三元首相(自民党衆院議員)が奈良市で街頭演説中に銃撃され、死亡した事件で殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)の初公判が28日、奈良地裁(田中伸一裁判長)でありました。
罪状認否で山上被告は「全て事実です。私がしたことに間違いありません」と述べ、殺人罪について認めました。補足した山上被告の弁護人は、銃刀法違反の発射罪について、手製銃規制対象の「拳銃等」に該当しないとして無罪を主張しました。
検察側の冒頭陳述によると、山上被告は2022年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で演説していた安倍氏を手製のパイプ銃で殺害しました。
山上被告の母親は統一協会(世界平和統一家庭連合)に入信し、約1億円の献金を重ねて自己破産しました。大学進学を断念した山上被告は、生活に苦しむ兄と妹に死亡保険金を渡そうと考え、自殺未遂を起こしたこともありました。兄は15年に自らの命を絶ちました。
そうした家庭環境で山上被告が「虐待」を受けていたと主張する弁護側は、母親の高額献金で家庭が崩壊した恨みによる犯行だと強調。精神的に追いつめられて「統一協会に翻弄(ほんろう)された人生だと思うようになり、協会への復讐(ふくしゅう)心を強めた」とし、情状酌量を求めました。
検察側が主張する犯行の危険性と計画性だけではなく、統一協会が山上被告に及ぼした影響が量刑にどう反映されるかが最大の焦点となる見通しです。
逮捕後の取り調べで山上被告は、犯行の動機について「(統一協会との)つながりがあると思って(安倍氏を)狙った」と供述していたとされます。安倍氏は統一協会の関連団体「天宙平和連合」が開いたイベントにビデオメッセージを送るなど、協会側との関わりがありました。
山上被告は一時期、韓国から来日した統一協会の韓鶴子総裁を殺害する計画を具体化させようとしていました。標的を安倍氏に変えた理由など、犯行動機の解明も焦点になります。
年内に結審し、判決は来年1月21日に言い渡される予定です








