2025年7月31日(木)
国連「ガザ飢饉進行」
停戦・大規模支援など要求
【カイロ=米沢博史】国連の「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は29日、パレスチナ・ガザ地区について「最悪の事態である飢饉(ききん)が進行中」とする警告を発しました。IPCの最新評価によれば、ガザ地区全域で食料摂取の状況が飢饉の基準に達しており、特に北部ガザ市では急性栄養不良の割合もこの基準に達しています。
IPCは、戦闘の継続、大量避難、医療や水道など基本的なサービスの崩壊、そして人道支援物資の深刻な搬入制限が重なり、食料不足と感染症による死者が急増していると警告。「致命的な転換点」に達していると強調し、敵対行為の停止、人道支援へのアクセスの全面的な確保、民間人や支援従事者・インフラの保護、商品の流通と現地生産の回復などの緊急措置の実施を勧告しています。
名指しをしていませんが、イスラエルが行ってきた電気や水道の破壊、病院や医療関係者への攻撃、食料搬入の長期にわたる遮断などが、ガザ住民の間に飢饉を起こさせていることは明らかです。
国連のグテレス事務総長は「ガザのパレスチナ人は甚大な人道的破局に直面している。これは警告ではなく現実だ」と述べ、大規模な支援物資の流入と即時停戦、全人質の解放、人道アクセスの全面確保を求めました。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長はSNSで、「この飢饉は完全に人為的なもの」と指摘し、「過去数週間で100人超が餓死した」と強調。UNRWAにはトラック6千台分の食料や医薬品の搬入準備が整っていると明かし、「制限なく、安全かつ尊厳ある形で支援活動を行わせてほしい」と訴えました。
ガザ北部のシファ病院のモハメド・サルミヤ院長は本紙の取材に対し、「1日に何百人もの栄養失調患者を受け入れているが、医師や看護師も空腹で倒れている。飢えをしのぐため野草に頼る住民もいる」と窮状を語り、「緊急に乳幼児用や治療用ミルク、高カロリー・高タンパクの栄養食品、抗生物質などの医療物資を大規模に搬入する必要がある」と訴えました。