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2025年7月30日(水)

主張

夏季の休暇

子どもたちに豊かな夏休みを

 夏休みです。猛暑だけに十分な休養を取りたい、文化・スポーツを楽しみ、家族や友人たちと旅行もしたい―。とりわけ子どものいる家庭では、夏休みの機会を大切にしたいものです。しかし、現実には希望をかなえるには大きな壁があります。

■物価高騰のなかで

 物価高騰、生活苦の中の夏休みです。帝国データバンクによると、7月の値上げ品目は2105品目にも及び、去年7月に比べると5倍の品目が値上げする異常な事態です。

 厚生労働省が先日、公表した国民生活基礎調査では、生活状況を「苦しい」と答えたのは全世帯の58・9%、子どもがいる世帯では64・3%もの多数になります。

 夏休みの旅行にも格差が影を落としています。明治安田生命の調査では、年収400万円以上世帯は65・3%が旅行を計画していますが、年収400万円未満の世帯では37・1%と半減しています。

 なかでも困窮子育て家庭の実態は深刻です。

 夏休みに希望する支援として、学校給食がなくなることもあり、ほぼすべての家庭が「食料支援(食料品クーポン、パントリー、食料品の宅配など)」(97%)を挙げています。2位は「イベントやレジャー施設への無料招待、利用クーポン配布」(74%)、3位は「無料または低額で参加できる旅行やキャンプ」(62%)と子どもの体験活動を求めています(認定NPO法人キッズドア調査)。

 高物価のもとでの困窮世帯への支援について、民間任せでなく、政府や自治体のきめ細かな施策が求められます。

 経済的な困難とともに、労働時間が長く、ゆっくりとした休日が取れないという大問題もあります。

 日本は長時間労働が横行し、休日・休暇が少ないため、働く人の健康を脅かし、子どもや家族と過ごす時間を奪っています。欧州諸国などと比べ年間300時間も労働時間が長いのです。

 連続休暇が少ないのも夏休みにとって壁のひとつです。

 夏季連続休暇日数は5・9日(2008年、厚労省調べ)しかなく、夏季の特別休暇制度を設けている企業は40%にすぎません(厚労省・24年就労条件総合調査)。

 豊かな夏季休暇を実現するためにも、賃上げ、労働時間の短縮、自由な時間の拡大などを求めるたたかいや社会の連帯が求められます。

 すべての子どもたちが食事の心配などすることなく、夏休みならではの体験が保障されるのは、当然の権利であり、政治の最低限の責任といわなければなりません。

■いまある条件でも

 同時にこの夏、現実にいまある条件のもとでも、どんなささいなことでもいいから、何か一つでも思い出に残る体験をつくることができればと願います。

 そのことを家族のみんなも子どもも待っているのではないでしょうか。準備の段階から子どもとも、ワイワイ議論しながら、計画をふくらませるのも楽しいものです。

 「この夏、楽しかったね」。そんな言葉を笑顔の子どもから聞けたら、最高です。


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