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2025年7月30日(水)

きょうの潮流

 アジアの選手として初めて、米国野球の殿堂入りを果たしたイチローさん。英語でのスピーチは野球にかけた情熱と周りへの感謝にあふれていました▼その中で唯一、日本語で呼びかけた言葉があります。「野茂さん、ありがとうございました」。それは日本選手の大リーグ挑戦の道をきりひらき、華々しい活躍によって野球の世界を広げた先駆者への賛辞でした▼始まりは1995年、26歳の若者の勇気ある決断でした。まだ大リーグ移籍のルールもなかった時代。当時の近鉄球団に所属していた野茂英雄さんはプロに入った時からの目標に踏み出しました。より高みをめざして▼しかしそれは、いばらの道でした。日本のプロ野球選手は球団との圧倒的な力関係のもと、まともに権利も主張できない状況に置かれ続けていました。旧態依然とした球界に風穴を開けようとした野茂さんの行動は野球機構や関係者から激しく非難され、メディアの論調も球団寄りでした▼そんな中で本紙は彼の挑戦を応援。以前から選手の人権尊重、球界改革を訴えてきた背景がありました。当時、野茂側の代理人役を務めていた人も「赤旗」の立場は「承知している」と。みずからの意思を発し始めた選手たちのうねりは球界に大きな変化をもたらしました▼大谷選手をはじめ今や大リーグでの日本選手の活躍は日常に。イチローさんは先のスピーチで信念を貫くことの大切さを説きました。それは夢をふくらませた30年前の野茂さんの挑戦にもつながっています。


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