2025年7月29日(火)
主張
政党助成金30年
堕落をもたらす制度やめよう
物価高騰に苦しむ国民が納める税金のうち毎年315億円を「政党助成金」として国が確保し、日本共産党以外の政党が群がって山分けする―政党助成金制度と呼ばれるこの制度が始まって30年。企業・団体献金禁止の議論が起き始めた一方、政党助成金はいまだ手つかずです。こんな“政党特権”は許されません。
■国民“強制カンパ”
政党は共通の理念・政策を実現するために自主的に集まる組織です。それを税金で支えるのは筋違いです。
政党助成金の年総額は直近の国勢調査の総人口に250円を掛けて算定。有権者でない赤ちゃんまで含まれます。特定政党を支持しない人、どの政党の支持かの考慮はなく、国民は1人250円を政党に“強制カンパ”させられている形です。「思想・信条の自由」「政党支持の自由」を侵す憲法違反の制度であり、日本共産党は一貫して政党助成金を受け取らず廃止法案を提出し続けてきました。
各党の年間の山分け額は、1月1日時点の所属国会議員数などで決まりますが、国政選挙が行われた場合は議員数の変動に合わせ再算定が行われます。その結果、先の参院選で大幅に議席増となった参政党は9億1400万円、国民民主党は22億3400万円となります。
自民党は大敗しましたが、それでも参院選結果を受けた年間山分け額は131億6200万円で政党助成金総額の42%を占めます。自民党の参院選比例得票率は21・6%ですから、支持していない政党に税金が配られる政党助成金制度の害悪は明らかです。
政党助成金は年4回(4月、7月、10月、12月)に分けて政党に支給されます。参院選の投票日直前の18日に行われた今年2回目の支給では、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、れいわ新選組、参政党、社民党、日本保守党の9党が78億8400万円を山分けしました。最高額は自民党の34億900万円です。
■裏金落選議員にも
当落に関係なく、政党支部代表を務める裏金議員・候補にも政党助成金が配られます。政党助成法は第4条で「使途について制限してはならない」とまで規定し、好き勝手に使うことができます。
政党助成金制度は、1990年代の「政治改革」で「企業・団体献金の廃止」と引き換えにという名目で導入されました。しかし、実際には政党本部・支部への企業・団体献金は温存され、もう一方で国民の税金である政党助成金も受け取るという“二重取り”が続けられています。
理念も政策も抜きに政党助成金目当てにおびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されるなど、「政党の堕落」「政治家の劣化」を生み出しました。
収入の7割を助成金が占める自民党は、企業・団体献金をもらわないと「税金丸抱え政党になってしまう」と“二重取り”を正当化しますが、国民からの浄財を集める努力をしたくないだけの言い訳にすぎません。
政党の堕落をもたらしている政党助成金制度はもう終わりにすべきです。