2025年7月29日(火)
デマと差別 蔓延許さない
各界有志がアピール
賛同署名を開始へ
参院選挙で自民党や参政党が外国人差別や女性差別を訴えて議席を得たことに対し、弁護士や音楽プロデューサーら各界の有志12人が28日、国会内で記者会見を開き、「デマと差別が蔓延(まんえん)する社会を許しません」とのアピールを発表しました。アピール賛同署名を近日中に開始し、署名を全政党に届けます。臨時国会の開会にあわせて都内で街頭宣伝を行う予定です。
![]() (写真)記者会見する「デマと差別が蔓延する社会を許しません」の(右から)太田、畠山、松尾の各氏=28日、参院議員会館 |
会見で、弁護士の太田啓子さんは、参政党代表による選挙中の女性差別発言に対する緊急抗議行動が3日間で全都道府県200カ所以上で取り組まれたと報告。「選挙後も、市民の抗議の意思を可視化したい」と語りました。
音楽プロデューサーの松尾潔さんは、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチ(差別扇動)を挙げ、「一言でも人を深く傷つける。それがヘイトの本質だ」と指摘。「扇動ではなく、共感と誠実さの力で変えていく民主主義をあきらめてはいけない」と強調しました。ピースボート共同代表の畠山澄子さんは、すでに日本社会の生活圏、経済圏は多文化の人々が支えているとして、「当事者は身の危険を感じて声を上げられない状況だ。私が声を上げ続ける」と声を震わせて訴えました。
アピール呼びかけ人の6人がメッセージを寄せました。作家の村山由佳さんは、自著の無政府主義者の伊藤野枝の評伝小説の一節を引き「虐げられるものの中へ、ためらわずに進んでいきたい」と表明。DJの沖野修也さんは「デマと差別に断固反対し、その最悪の組み合わせを僕は決して許さない」と訴え、小説家の中島京子さんは「政府も公式に、差別扇動は許されないと発表してほしい」としました。
アピールは、デマなどにより外国人を敵視する排外主義の拡大に「強く憂慮する」と表明。一部の政治家によるデマや差別的発言で民主主義を壊し、戦争の道に進むことを許さないとして、市民に向けて「立ち上がろう」と呼びかけました。