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2025年7月28日(月)

きょうの潮流

 「結論がわかってるようなことは最初から書くな。わからないことをこそ追求するのが文学なんだ」。作家の吉開(よしかい)那津子さんが、『民主文学』8月号で自身の創作姿勢について語っています▼日本民主主義文学会は今年創立60周年を迎え、8月号は記念増大号です。吉開さんは創立直後に加入し会長も務めました。部落解放同盟による八鹿(ようか)高校事件を10年かけて小説『希望』に書いた話も。「作品としての奥行きの深さは、捨てられた材料の大きさによる」との言葉は、記者としても学ばされます▼同誌によれば作家の旭爪(ひのつめ)あかねさんはかつて「民主主義文学という呼び方はなくした方がすっきりする」と発言したそうです。議論する中で民主主義文学とは何かを問い続けた旭爪さんの誠実な姿もみえ、5年前の早すぎる死が惜しまれます▼いまやユーチューブやSNSに押され、若者の文学離れが指摘されています。しかし都内の大学2年生のSさんは、文学は面白いといいます▼「大学に入ってから先輩や友人に勧められて読み始めました。さまざまな文体、表現方法があって、自由で、ことばだけで人に思いを伝えるのがすごい。明るいいい話より、人間の本質をつく小説が好きです」▼小説を書きたいと思い始めたSさんは、民主文学会が開催する「若い世代の文学研究集会」(9月6・7日、東京、Zoomもあり)に参加します。「一つの小説を読んで意見を交わすのは未知の世界です。新しい発見があるのではないかと、わくわくしています」


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