2025年7月27日(日)
24年 米軍関係者犯罪
9割不起訴
なぜ問わぬこの特権
2024年に国内で発生した米軍関係者(米兵、軍属、家族)による一般刑法犯(自動車運転過失致死傷等は除く)の起訴率は11・8%にとどまり、約9割が不起訴となっていることが、日本平和委員会の情報公開請求に対し法務省が開示した資料で明らかになりました。前年の起訴率21・3%を大幅に下回っており、近年の一般刑法犯の起訴率が30%台後半で推移しているのと比べ極めて低く、米軍関係者を“優遇”している実態が浮き彫りになっています。
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法務省が開示した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」によると、一般刑法犯の起訴が13件だったのに対し、不起訴は97件に上りました。なかでも性的暴行事件は前年比で3件増の7件も発生。このうち不同意性交等致死傷2件はいずれも起訴されましたが、不同意性交等4件中3件は不起訴で、不同意わいせつ1件も不起訴になりました。
沖縄では、23年12月に16歳未満の少女を誘拐し性的暴行を加えたとして、24年3月に米空軍嘉手納基地所属の空軍兵長が起訴された事件を政府が沖縄県に報告せず隠ぺいしていたことが発覚。同年5月にも米海兵隊員が県内で女性に性的暴行を加え、けがを負わせた事件など、23年以降で5件の性的暴行事件が起きていたことが分かりました。
過失致死傷、危険運転致死傷は全て不起訴。住居侵入は前年比7件増の27件発生し、傷害も18件発生しましたが、起訴はそれぞれ1件のみ。窃盗も26件中起訴はわずか2件でした。
米軍関係者の起訴率が低い背景には日米地位協定と刑事裁判権放棄の密約があります。協定17条は、在日米軍関係者が「公務中」に起こした事件は米側に、「公務外」では日本側に第1次裁判権があると明記。しかし、1953年の日米合同委員会の密約で、日本は「実質的に重要であると考えられる事件」以外は裁判権を行使しないと約束しています。
また、沖縄県の統計資料によれば、県内で発生した米軍関係者による事件数は2020~24年の5年連続で増加しています。
今回の参院選では、複数の政党が「外国人犯罪で治安が悪化した」「外国人が優遇されている」などという事実に基づかない言説で排外主義をあおりましたが、在日米軍関係者による凶悪犯罪の横行を野放しにし、特権を与えている実態には口をつぐんでいます。