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2025年7月26日(土)

きょうの潮流

 NHKで放映中のドラマ「舟を編む」。ファッション誌の編集部から突然、辞書編集部に異動になった主人公が「言葉」というものの魅力を知り、辞書づくりに夢中になっていく物語です▼主人公は「恋愛」という言葉の説明に疑問を感じます。ほとんどの辞書は「恋愛」を「男女」や「異性」の間の関係として説明していました。これでは同性愛の人が除かれてしまうと主人公は考えます。編集部内で議論し、説明文を再検討することになりました▼実際の辞書でも、近年改訂されたものの多くが「恋愛」の説明から「男女」「異性」という言葉を除いています。時代によって言葉の意味が変化したり、同じ言葉にも違う意味があったり、新しい言葉が生まれたりという辞書の世界の奥深さには、見る側も引き込まれます▼このドラマで一つのキーワードのように使われるのが「疑う」ということ。主人公は上司から「信じられる辞書をつくるためにとことん疑え」と言われます▼この説明は正しいのか、読んだ人に理解されるのか、事実に間違いはないか。辞書づくりは疑いを繰り返す作業です。「疑う」ことがやがて「信じる」ことにつながる。ドラマではそんな場面がさまざまな形で描かれていきます▼一言一言の重みを改めて考えさせられました。他者と対話し理解し合うために、この言葉で適切か、この言い方でいいのか、たえず自分の言葉を疑いながら、言葉を練り上げていく。情報あふれる社会でますます大切になっていることです。


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