2025年6月16日(月)
年金制度改定法案
倉林議員の反対討論(要旨)
参院本会議
日本共産党の倉林明子議員が、13日の参院本会議で行った年金制度改定法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
法案に反対する最大の理由は、多くの年金生活者の今の困窮に背を向けて、マクロ経済スライドを継続し、今後十数年にわたり年金水準が下がり続けることです。今必要なのは、現在困窮する人たちの暮らしを支えるため物価高騰に見合う年金額の引き上げです。
マクロ経済スライドの導入から20年で公的年金の給付水準は実質約1割も削減されました。法案は衆院で修正されたものの5年後に再度検討するもので、たとえマクロ経済スライドの早期終了措置を発動しても、今後10年以上年金削減が継続します。年金水準はさらに実質1割下がり、就職氷河期世代を含むすべての世代の打撃になります。
今の年金生活者の暮らしを守るとともに現役世代の大幅減額を避けるために、マクロ経済スライドをただちに廃止し、物価高騰に見合った年金額に引き上げることを求めます。
女性の低年金は放置できない問題です。大部分の高齢女性が年金では到底暮らしていけない水準に置かれています。単身高齢女性の貧困率は44%にのぼっています。低年金の最大の要因は現役時代の低賃金にあります。女性の働き方に壁をつくり、男性の補助的労働にとどめ、女性を低賃金におしとどめる構造を政治がつくってきたのです。26万人いると言われる無年金者の解決も含め、最低保障年金制度の実現に踏み出すべきです。
障害年金の見直しはまたも見送られました。多くの無年金障害者が生み出されている大きな要因が、医学モデルに偏り、障害者の実態に合わない認定基準です。真に支援が必要な人に障害年金が支給されるよう、認定システムを根本的に見直すことが必要です。低すぎる障害年金の見直しも急がれます。親に依存せず、社会的に自立した生活ができるよう大幅に引き上げるべきです。障害年金の制度上、運用上の喫緊の課題を解決し、制度を抜本的に見直すため、当事者、専門家の参加する、集中した議論をすぐ開始すべきです。
巨額の年金積立金を計画的に活用する、高額所得者の年金保険料の“頭打ち”を見直すなどの改革を行い、高齢者も現役世代も「減らない年金」にすることこそ、緊急に求められます。